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電子書籍端末koboglo(コボ グロー) レビュー「本・書籍通販検索」管理人のY.Nです。2012年11月15日、楽天より電子書籍端末「koboglo」(コボグロー)が発売されました。このページでは、電子書籍端末「kobo glo」について、「koboTouch」(コボタッチ)との比較を交えながらのレビュー記事を掲載させて頂きます。 なお、「koboTouch」については、「koboTouch(コボタッチ)レビュー!」のページにレビュー記事を掲載させて頂いております。電子ペーパーの基本的な性質等についても解説しておりますので、本レビューをご覧頂く前にご一読頂くことをお勧め致します。 kobogloレビュー - 目次
koboglo(コボグロー)とkoboTouch(コボタッチ)について「koboglo」(コボグロー)は、カナダのkobo社(2011年に楽天が買収)が開発したkoboシリーズの電子書籍端末の1つです。北米やヨーロッパでは、2012年10月より、日本国内では11月15日より販売がスタートしています。 koboシリーズには、使用する電子ペーパーのサイズや種類によって、いくつかのバリエーションがあります。kobogloは、6インチのモノクロ電子ペーパーを搭載した電子書籍端末としては最新モデルになります。同じ、6インチサイズのモノクロ電子ペーパーを搭載した電子書籍端末としては、AmazonのKindle(キンドル)や、SonyのReader(リーダー)などがあります。 kobogloの前機種である「koboTouch」(コボ タッチ)は、kobogloと同様に6インチサイズの電子ペーパーを搭載した電子書籍端末です。海外では2011年に販売が開始されていますので、海外市場ではkobogloは1年振りの新機種ということになります。一方、日本国内では、kobo Touchは2012年7月19日に販売を開始していますので、日本のユーザーからすると、わずか4ヶ月足らずで新機種のgloが発売されたことになります。 この点は、早期にkoboTouchを購入した日本のユーザーには、少々不満の残る点と言えるかもしれません。新機種のgloの発売を控えて、日本のユーザーは旧機種のTouchの在庫処分に付き合わされた、と考えることもできます。もし、楽天がAmazonに対抗してkobogloで国内の電子書籍市場を獲得したいと考えるのであれば、koboTouchのユーザーに対してgloへの買い替えや乗り換えプラン等を提供しても良いのではないかと思います。 kobogloとkoboTouchの基本スペック比較koboの公式サイトやマニュアルに記載されているkobogloとTouch基本スペックは、以下の通りです。なお、下記スペック内でスペックが向上した部分については、赤字で記載しております。
koboTouchと比較した場合の、kobogloの主な変更点・改良点は以下の5点です。
まず、koboTouchと比較した場合の、kobogloの外観の一番の違いは、ホームボタンが廃止された点です。koboTouchには、ディスプレイの下部に銀色のホームボタンが付いていましたが、kobogloではこのボタンが廃止され、その分、本体の奥行(縦の寸法)が若干ですが短くなっています。 また、寸法が短くなったせいか、重量も、10gほど軽くなっています。公式のスペックではkoboTouchの重量は約190グラムと表記されていますが、スケールを使ってそれぞれの重量を計測したところ、koboTouchが195グラムに対して、kobogloは184グラムでした。 そして、kobogloの大きな特徴・改良点の1つが、フロントライトが内蔵された点です。これによって、koboTouchではオプションのクリップライトを付けないと難しかった、寝転がって読書をする、暗い部屋で読書をするといったことが可能になりました。 ディスプレイの解像度についても、改善が行われています。従来機種では、600x800ピクセル(48万画素)だった解像度が758x1024ピクセル(約77万画素)にアップしています。ディスプレイのサイズ自体は6インチで変更はありませんので、画面の解像度が上がった分、ディスプレイの表示品質も向上していると考えられます。 また、バッテリーの改善も行われ、カタログスペックを見る限り、ページめくりの回数が倍増しているようです。 以上のように、kobogloは、価格は7980円と従来機種から据え置きに設定しつつ、電子書籍端末としての使い勝手に直結する部分(重量・サイズ・表示品質等)で着実な改良を行い、より使い勝手の良い端末に仕上げていると言えます。 kobogloフォトギャラリーここでは、kobogloの写真画像をご案内します。(各画像をクリックで大きな画像を表示) 化粧箱は、マニュアルと一緒にシュリンクされている。前回のkoboTouchの化粧箱は白いアップル風のデザインだった為、かなり印象が異なる kobo gloファーストインプレッションここでは、kobogloのハードウェアの第一印象を記載します。前回のkoboTouchのレビューでは、「7980円という販売価格を考慮すると、価格に見合うだけの質感や剛性は十分に備わっている」とkoboTouchの第一印象を評しましたが、これは、kobogloにも全く同じ評が当てはまります。 本体の質感は、koboTouchと同じマット調のプラスチックで、ホームボタンの有無以外は大きな差異は感じられません。見た目や触った感触から、同じ素材で作られていると考えて間違いないと思います。ただ、フォトギャラリーにもある通り、裏面の加工がkoboTouchとは異なっています。格子状のエンボス加工ではなく、平面に格子模様の溝が付いている形に変わっています。 裏面の凸凹がなくなった分、手に持った際に若干滑りやすくなったとも言えますが、元々本体自体が200グラムを切る重量でサイズもコンパクトなため、ホールド感に関しては実用上の問題が生じることは全く無いと思われます。 また、前の項で述べた通り、フロントライトという新しい機能を搭載しつつ、本体サイズはやや小さく、軽くなっているというのは大きく評価出来るポイントです。価格についても、前機種から据え置きの7980円(税込)であることを考えれば、ハードウェアとしては、十分に評価のできる端末であるというのが、kobogloの第一印象となります。 電子書籍端末としてのkobogloの総合評価続いて、kobogloの電子書籍端末としての総合的な評価を記載します。電子書籍端末としての評価は、前回のレビューと同様に「ハード」と「ソフト」の2面から評価してみます。 「ハード」というのは、kobo本体の表示品質や動作速度など電子書籍端末としてのハードウェアの部分、「ソフト」というのは、電子書籍を購入する仕組みや、本の品ぞろえ、購入した電子書籍を管理するアプリなどのソフトウェアの部分です。 前回のレビューでは、koboTouchを以下のように評価しました。
■koboTouchの評価 総合評価「45点」、つまり電子書籍端末としては落第点の評価を行いました。これに対して、kobogloは、今回、以下のように評価を行いました。 ■kobogloの評価 総合評価「50点」、残念ながら、kobogloは電子書籍端末としてはやはり落第点の評価となってしまいました。ハードウェアの部分は着実に進歩して及第点の評価となりますが、ソフトの部分に進歩・改善がなく、低評価とならざるを得ないというのが正直なところです。 ハードウェアの評価.1 - 解像度が向上した電子ペーパーの表示品質ここでは、電子書籍端末として重要な電子ペーパーの基本的な表示品質について、gloとtouchを比較しながら評価させて頂きます。 kobogloのディスプレイは、touch同様、6インチのモノクロ電子ペーパーが採用されています。ただし、解像度から600×800ピクセルから758x1024ピクセルと向上しているのがカタログスペックから見てとれます。
dpi(dot-per-inch、1インチあたりのピクセルの密度)で比較した場合、touchが約170dpiに対して、gloは約212dpiとなり、約25%ほど、ピクセルの密度が向上していることになります。 実際、gloとtouchを比較した場合、表示品質の向上が確認できます。下の2つの画像は、gloとTouchの電子ペーパーを接写したものです。表示しているのは、宮沢賢治先生の「銀河鉄道の夜」の冒頭部分です。下の小さなサムネイル画像では、やや分かり辛いですが、フォントの荒さ・ジャギー感が改善されているのが確認できます。画像をクリックすると、大きな画像が表示されますので、ぜひ画像をクリックして、大きな画像で比較してみて頂きたいと思います。 なお、各画像の右下に映っている黒い影は、接写の際に映り込んだカメラの陰になります。電子ペーパーの素地(背景)の色は、均一なグレーでムラはありません。 上の画像にある通り、接写するとフォントのジャギー(ギザギザ)感が改善されているのが確認できます。ただし、フォントサイズを紙の文庫本と同程度の小さ目のサイズに設定すると、解像度が足りずにフォントやルビがにじむのはkoboTouchと同様で、英文はともかく、日本語の漢字や小さなルビを表示するには、まだまだ解像度が十分でないと感じます。 kobogloの解像度約212dpiに対して、商業印刷における紙の印刷物の解像度は300から350dpiと言われていますので、解像度の面では、紙の印刷物の品質にはまだ及ばびません。さらに、上の画像にある通り、電子ペーパーの素地の色が紙の本のような白ではなくグレーの為、コントラストの面でも、紙に劣るのが実状です。 以上を踏まえると、前機種のkoboTouchと比べると、解像度の面で改善こそ見られるものの、紙の印刷物と比べると解像度・コントラストの両面でまだ十分な品質ではない、というのがkobogloの電子ペーパーの表示品質(解像度)に対する評価になります。 また、カタログスペックに出ない、gloとtouchの電子ペーパーの違いがいくつかあります。 まず、電子ペーパーの素地(背景)の色味がgloとtouchでは若干ですが、異なっています。 gloの電子ペーパーの色は、touchと比較するとやや、黄色味が強くなっています。あるいは、gloを基準とした場合、touchの電子ペーパーはやや青みが強い、とも言えます。 色温度でいえば、gloの電子ペーパーは色温度がやや低めのグレー、touchの電子ペーパーは色温度がやや高めのグレーということになります。 これは、2台の端末を並べて分かる程度の違いなので、実用上問題となるようなものではありませんが、koboTouchのユーザーがgloを見た場合に多少の違和感を覚えることはあるかもしれません。 また、電子ペーパーの表面の質感・感触についてもgloとtouchでは若干ですが、違いがあります。 gloの電子ペーパーの表面は、touchと比較すると若干ですが、「ざらざら」しています。分かり易くたとえると、koboTouchの表面が雑誌のグラビアページで使用されているコート紙の「つるつる」とした感触に近いとすると、gloの表面はコピー用紙のざらついた質感に近いと言えます。 ただ、この表面の質感・感触は、2台の端末を使い並べて分かる程度の違いでしかありません。kobogloの電子ペーパーの感触が特に悪かったり、指が滑りづらい、ということではありません。 ハードウェアの評価.2 - 大きく改善された残像現象この項では、電子ペーパーのハード的な問題点である「残像現象」と、kobogloにおける残像現象について解説します。 電子ペーパーの「残像現象」は、あるページから次のページにページ送りで移動した際に、前ページの表示内容が表示ページにうっすらと残像として表示される現象です。 そして、電子ペーパーを搭載した電子書籍端末では、その残像を消去する為に、「ページリフレッシュ」という処理がページ送りの際に一定の割合で実行されます。 「ページリフレッシュ」とは、電子ペーパーの全表示を白黒反転させて、文字通り画面の表示をリフレッシュ(リセット)し、残像を消去する処理です。kobogloやTouchの場合、初期設定ではこれが「6ページ」毎に設定されていますので、6ページ分ページ移動する度に1回、リフレッシュの白黒反転処理が実行される仕組み(※)です。 この「残像現象」と「ページリフレッシュ」は、電子ペーパーを搭載した電子書籍端末特有のもので、はじめて電子ペーパーを目にしたユーザーが大きな違和感を覚える部分、電子ペーパーの大きな「弱点」とも言える部分です。 kobogloでは、この残像現象がkoboTouchと比較すると、明らかに改善され、ページ送りを行った際の残像がかなり少なくなっています。 下の図は、touchとgloで同じページを表示して、ページ送りを4回繰り返した際の画面の接写になります。2つの画像を比較して頂ければわかる通り、明らかに、gloの方が残像が少なくなっています。 この、残像の軽減は、カタログスペックには出ないkobogloの電子ペーパーの大きな改善点であると言えます。 ただし、非常に残念なのは、ページリフレッシュ(リフレッシュレート)の設定が、「6ページ」毎より長い間隔で設定できない点です。 残像が大きく軽減されているにもかかわらず、旧機種のkoboTouchと同様に、最長でも6ページごとに、ページリフレッシュ処理が実行される為、せっかくのkobogloの「残像の軽減」というメリットが活かせていません。 例えば、ソニーの電子書籍端末「PRS-T2」の場合、最長で15ページごとにページリフレッシュを実行するように設定が可能になっています。kobogloの残像を見る限り、「PRS-T2」と同程度にページリフレッシュの間隔を延ばしても、全く問題ないと思われます。 このページリフレッシュの間隔については、今後のファームウェアのアップデートで改善されることを期待したいところです。 ハードウェアの評価.3 - タッチパネルの反応やページ送りの速度についてこの項では、kobogloのタッチパネルの反応やページ送りの速度などの、操作性の部分について解説します。 結論から言うと、タッチパネルの反応やページ送りの速度などは、kobogloとTouchの間に大きな違いはありません。気持ち程度、kobogloの方がページ送りの際に表示速度が速いような気もしますが、これは、電子ペーパーの残像表示が改善された点から、表示が速いように見えるだけかもしれません。 基本的に、kobogloとTouchは、同程度のタッチパネルの反応・処理速度と考えていいと思います。 なお、koboTouchは、10月にリリースされたファームウェア(ver2.1.4)によって、タッチパネルの反応やページ送りの速度が大きく改善されています。今回、レビューに使用したkoboTouchも最新のファームウェア(ver2.2.0)を使用していますので、koboTouchの発売当初のレビューで指摘した、タッチパネルの反応の悪さについてはかなり改善されています。 従って、kobogloは、Touchと同程度ではありますが、読書するという点においては、十分実用的なインターフェースを備えているといっていいと思います。 ただし、残念ながら、koboglo・Touchともに文字の選択機能が、未だにうまく機能していません。koboには選択した文字の意味を表示してくれる辞書機能が内蔵されていますが、kobogloでも、文字選択時のタッチの精度・反応が悪く、うまく文字を選択することはできません(縦書き文章の場合)。 この縦書き文字の選択処理の問題については、koboTouchのリリース当初から指摘されて、未だに解消されていない問題なので、今後のファームウェアのアップデートで早急な改善をしたいところです。 ハードウェアの評価.4 - フロントライトの使い勝手はこの項では、kobogloの目玉機能である「フロントライト」機能の性能・使い勝手について解説します。 「フロントライト」機能は、kobogloの内部にLEDライトを内蔵することで、暗い場所でも読書を可能にする機能です。 「フロントライト」機能を使用する場合は、本体上部の電源スイッチの左側にあるフロントライトスイッチを押すことで、フロントライトの点灯・消灯が可能です。また、フロントライト機能をONにすると、画面下部にフロントライトの明るさを調整する為のスライダーバーが表示されます。このスライダーバーで明るさを11段階で調整可能です。 「フロントライト」機能の使用感は良好です。ライトの明るさのムラも少なく、暗い部屋であれば、ライトの明るさを最小にしても十分読書可能な照度を確保できます。 また、明るい部屋の中であっても、フロントライトを使用することで、電子ペーパーの視認性が向上するようです。電子ペーパーの素地(背景)のグレーがライトに照らされて白くなることで、コントラストが向上し、文字がより読みやすくなります。 koboTouchでは難しかった、ベットに仰向けになって本を読むといった読書スタイルもフロントライト機能によって可能になりましたので、就寝前に読書するといった習慣のあるユーザーにとっては、この機能の為にkoboTouchからgloに買い替える価値があると言っても過言でありません。 ソフトウェアの評価.1 - 相変わらず完成度の低いストアとデスクトップアプリこの項では、kobogloのソフトウェア、書籍の購入・管理システムについての批評を記載させて頂きます。 現状、kobogloやTouchでは電子書籍の購入方法は3つあります。1つは、koboの電子書籍端末から直接、無線LAN経由でインターネットに接続して書籍を検索・購入する方法、2つめは、パソコンのブラウザーでインターネット上のkoboイーブックストアで検索・購入する方法、最後は、koboのデスクトップアプリを使って、電子書籍を検索・購入する方法です。
残念ながら、3つのいずれの方法・手順も、使い勝手が悪く、koboという電子書籍端末の評価を大きく下げる原因となっています。 強いて言うなら、3つの方法の中で最も実用的なのは2番目の「パソコンのブラウザーでインターネット上のkoboの電子書店で検索・購入する方法」です。 koboの電子書店自体、お世辞にも使い勝手の良いオンライン書店ではないのですが、ほかの2つ方法、koboで直接インターネットに接続して書籍を検索・購入する方法や、koboのデスクトップアプリ自体が非常に使い勝手が悪い為、消去法的にパソコンのブラウザーで電子書店を利用する方法にならざるを得ないというのが実際のところです。 では、それぞれの方法が実際にどのようなものか、前回のレビューでも紹介した小山宙哉先生の漫画作品「宇宙兄弟」を、3つの方法で検索を行った際の画面を比較してみます。 以下の6つの画像は、「宇宙兄弟」で検索を行った際の画面をキャプチャしたものです。 上段の2枚が、koboの端末の画面、中段の2枚がkoboのインターネット書店の画面、下段の2枚がデスクトップアプリの画面になります。 各キャプチャ画像を見て頂くと分かる通り、koboの端末とデスクトップアプリには、「巻数」の表示がなく、「宇宙兄弟」という同名タイトルの書籍が並んでいます。また、「巻数」が表示されないのは、検索結果ページだけでなく書籍の詳細ページも同様で、該当の書籍が宇宙兄弟の何巻なのか確認することができません。 koboの端末に至っては「巻数」はおろか、書籍の「価格」すら表示されていません。 この「巻数」が表示されない問題は、前回のkoboToouchのレビューの時にも指摘した問題ですが、前回のレビューを書いたのが7月ですから、4ヶ月経過した11月時点でも、未だに問題が解消されていない事になります。 また、koboの端末とデスクトップアプリには、検索結果をソートする機能もありませんので、たとえば、発売日の新しい順に並び替えて、最新刊を購入するといった操作を行うこともできません。 前回のレビューでも指摘したのですが、巻数の確認も確認できないのであれば、本を購入することなどできません。前回は、まだkoboTouchが発売された直後で、koboの電子書店もオープンしたばかりでしたので、このような不具合が発生するのもやむ負えない、と考えることもできました。しかし、koboTouchの発売から4か月経過した2012年11月現在も、このような不具合を解消できていないのは、やはり、kobo社や楽天に大きな問題があると言わざるを得ません。 なお、この書籍の「巻数」が表示されない問題は、「宇宙兄弟」だけでなく講談社の発行する漫画作品全般で発生しているようです。例えば、かわぐちかいじ先生の「沈黙の艦隊」や、諫山創先生の「進撃の巨人」で検索した場合も、同様に巻数が表示されません。 これは、出版社が提供する巻数などの書籍情報をkobo側がきちんと処理できていない為に発生している問題と思われます。当然、kobo社(楽天)もこの問題を認識しているはずですが、問題を認識しているにもかかわらず端末の発売から4か月経過した今もその問題を解消できていない点に、この問題の深刻さが表れています。 なお、koboのオンライン書店の方では、この巻数が表示されない問題は解消されて、現在では検索結果ページ、書籍の詳細ページ共にきちんと巻数が表示されるようになっています。 オンライン書店では、検索結果のソートも可能な上、書籍の発売日などの書籍の付帯情報も表示される為、koboの電子書籍を検索・購入する場合は、ブラウザでオンライン書店にアクセスするのが一番無難という結論になります。 いずれにせよ、koboの端末やデスクトップアプリで、きちんと書籍の「巻数」や「価格」を表示できるようにする、また、検索結果をソートするなどの最低限の機能を早急に実装して頂きたいと思います。でなければ、いくらハードウェアを改善した所で電子書籍端末として使い物にならないと指摘しておきます。 ソフトウェアの評価.2 - 取り扱う電子書籍の数はどの程度増えたか次に、koboの電子書店、koboイーブックストア(http://rakuten.kobobooks.com/)の書籍の品ぞろえ、取り扱っている電子書籍の点数について検証してみます。 楽天の運営するkoboの公式販売サイト(http://kobo.rakuten.co.jp/)によると、 koboイーブックストアでは、検索キーワードを空欄にして検索を実行することで、ストアの取り扱い書籍数を調べることが可能です。ストアの上部になる検索窓のテキストボックスを空欄のまま検索ボタン(goボタン)を押します。すると、検索結果画面に移動して、該当書籍の件数として「2825993件」と表示されます。 koboは、北米やヨーロッパでも電子書籍を販売しておりますので、この「2825993件」は、英語やフランス語などのを含めたすべての言語を含めた書籍の点数になります。日本語の書籍に絞り込む場合は、画面左列の「検索結果を絞り込む」の列にある「言語」の欄で「日本語」をクリックします。 すると、検索結果画面に該当書籍の件数として「71125件」と表示されます。この、「71125件」が、koboイーブックストアでの日本語に対応した電子書籍の取り扱い点数ということになります(2012年11月22日時点での点数です)。 日本語の書籍の「71125件」には、無料で読める青空文庫やパブー等の電子書籍も含まれます。検索結果画面の「フィルター」というプルダウンメニュー内に「無料作品のみ表示」というメニューがありますのでそれを選択すると、検索結果画面に「17543件」と表示されます。つまり、「71125件」のうち「17543件」が無料作品であり、購入可能な有料作品は71125件-17543件で「53582件」ということになります。 さらにこの「53582件」には、有料の楽譜「17235件」と、有料のバーチャルアート「2395件」が含まれています。楽譜というのは、文字通りギターやピアノの演奏に使用する楽曲のコードが書かれた楽譜のことです。koboでは、オブ・インターラクティブ社やアディインターナショナル社の提供するデジタル楽譜が、楽曲一曲ごとに登録・販売されている為、楽譜のみで「17235件」と非常に大きな件数が登録されています。 ちなみに、koboの検索結果画面では、楽譜のみの絞込みはできないのですが、検索結果のパラメーターで、カテゴリの指定を行う「c」というパラメーターに「8Kmc20RWGUatTWezt4FepA」という値を指定すれば、サブジャンルの「楽譜」というカテゴリで絞り込みを行うことが可能です。 参考:koboイーブックストアのサブジャンル「楽譜」の検索結果 また、「バーチャルアート」というのは、アートとは名ばかりのただの1枚の画像ファイルで、koboでは1枚50円という価格で販売されています。これはとても「書籍」と呼べる内容のものではありませんので、書籍点数から除外します。つまり、有料の日本語書籍「53582件」から楽譜の「17235件」とバーチャルアート(有料)を差し引いた書籍点数は、53582件-17235件-2395件で「33952件」ということになります。 参考:koboイーブックストアの「バーチャルアート」の検索結果 この「33952件」が、このレビューを書いている2012年11月22日時点での、koboイーブックストアで購入可能な、実質的な日本語書籍の書籍点数となります。 前回7月23日に調査した際の書籍点数が「6893件」でしたので、この4カ月で約2万7000点ほど取扱い書籍の数か増えたことになります。
楽天は7月のkoboTouchの販売当初、8月末までに6万点、年末までに20万点の電子書籍を揃えると公言していましたが、11月時点で、楽譜やバーチャルアートを含めたとしても6万点にも届かない書籍点数は、ユーザーとしてはかなり不満の残る現状と言えます。 総評 - ストアとアプリを改善しなければkoboの未来はない前回のkoboTouchのレビューと同じ結論になりますが、ハードウェアとしてのkobogloは、7980円という価格を考えれば及第点の出来です。一方、ストアやデスクトップアプリの品質が非常に悪く電子書籍端末としては落第点の評価しか与えることはできません。 kobogloの発売とほぼ同じタイミングで、ライバルとなるAmazonの電子書籍端末kindle Paper White(キンドルペーパーホワイト)が発売されました。管理人もkindlePaperWhiteを入手しましたが、ハードウェアの品質自体はkobogloとkindlePaperWhiteに大きな差はありません。しかしながら、ストアの使い勝手は、kindleの方がはるかに上回っています(kindlePaperWhiteについては、下記ページのレビューを参照)。 12月2日UP:kindlePaperWhite(キンドルペーパーホワイト)実機レビュー 早急に、ストアやデスクアプリを改善しないと、koboTouchでせっかく獲得した電子書籍端末のユーザーを、そのままkindlePaperWhiteに奪われることになりかねません。 普段、レビュー記事などは書くことはない管理人が、わざわざkoboTouchの発売時にレビュー記事を書いたのは、koboという電子書籍端末で電子書籍市場に挑戦する楽天を応援する気持ちが少なからずあったからですが、koboTouchの発売以降の騒動(楽天市場でのユーザーレビューの削除や書籍点数の水増しなど)や、いつまでたっても改善されない「巻数」表示等の不具合問題で、その気持ちもすっかり失せてしまいました。 これまでのレビューで書いた通り、kobogloやTouchのハード自体は決して悪い出来ではありません。実際、紙の書籍を「自炊」(裁断・スキャン)して電子書籍化して利用する自炊ユーザーには、koboは一定の評価を得ているようです。ただ、koboのビジネスモデルはハード(端末)を赤字で売って、ソフト(電子書籍)で利益を出すというものなので、ストアで本を買うことの無い自炊ユーザーが増えたところでkobo(楽天)は利益を得ることができません。このままでは、ハードの赤字が増えるばかりで、早晩、koboのビジネスモデルは(少なくとも日本国内では)破たんする事になると思われます。 koboの電子書籍ビジネスは、今、正念場にあると言えます。ストアとアプリの改善が遅れると、kindleに国内の電子書籍市場を一気に奪われることになるでしょう。kobo社自体、会社の設立以来赤字続きで利益を出せていませんので、今後、電子書籍ビジネスが黒字化する目途が立たなくなった場合、例えば2年後や3年後に、楽天がkobo社の株を手放して国内の電子書籍ビジネスから撤退することも十分に考えられます。 楽天は、自社の運営する電子書籍ストアのRabooを2013年3月31日で閉鎖すると発表しています。閉鎖にあたってRabooでユーザーが購入した電子書籍を別の書店に引き継ぐといった対応は行われないようです。もし、koboが国内の市場から撤退するようなことになった場合、koboで購入した電子書籍は、Rabooと同様にサポートされない可能性が高いと言えます。 これらを踏まえると、koboで電子書籍を購入するのは、現状、あまりお勧めできないというのが管理人の率直な意見となります。もちろん、koboの端末やビジネスが将来的にどうなるかは神のみぞ知ることで、想像で悲観的になっても仕方のないことなのですが、koboのストアやアプリの品質、「近日リリース」のままでリリースされないAndroid向けアプリなどの現状を見ると、kobo社や楽天の技術力、koboという電子書籍端末の将来性に大きな疑問符が付くことは否定できません。 繰り返しになってしまいますが、kobogloのハードウェア自体の品質は決して悪いものではありません。iPadminiやNexus7といった7インチタブレット端末と比べても半値以下の7980円で、無料で公開されている青空文庫などの1万点以上の文学作品を読むことができると考えると、非常にコストパフォーマンスの高い電子書籍端末であると言えます。 前機種のkoboTouchと比べても、gloはフロントライトの搭載や残像の低減などで使い勝手が確実に向上していますので、電子書籍や電子書籍端末に興味のある方であれば、kobogloを購入しても決して損はないとだけ申し上げて、このレビューを終わらせて頂きたいと思います。 それでは、管理人の長いレビューにお付き合いを頂きまして、ありがとうございました。kobogloの購入を検討されているみなさんの一助となれば幸いです。 2012年11月23日 本・書籍通販検索管理人
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